あふれる情報の中から
「欲しい情報をすばやく
手に入れる」
そのために必要な速読法を
紹介します。
速読法とは、
脳の情報処理能力を速くする方法
です。
脳の情報処理ですから脳科学の領域です。
しかし脳科学は歴史が浅いので、速読法を明確に
説明することはまだ出来ません。
経験が先行しています。
速読法を会得した人が、めいめいに、普及活動を
行っている状況です。
速読法を紹介する前に、脳の情報処理に関して
誰でも知っている有名な、チンパンジーの
実験的事実から話を進めましょう。
実験1、チンパンジーの記憶速度
これは、
チンパンジーの記憶速度の速さについて
驚かせる実験です。
京都大学霊長類研究所で行われたチンパンジー
「アユム」の実験をyoutubeで見ることが出来
ます。モニター画面に1から9の数字がランダム
に配置されて映し出されます。
アユムが1を押してから0.2秒後には数字の表示
が全て白く塗りつぶされます。
番号が見えなくなり
白い四角図形だけが見える状態になります。
アユムは数字の位置をすべて覚えていて1から9
まで順番に間違えずに押してゆきます。
見た瞬間に数字の配置を覚えているのです。
人間よりはるかに速い速度で記憶するのです。
見たものを覚える速度は人間よりはるかに速い
のです。研究所の先生によるとアユムだけでなく
他のチンパンジーも同じように速く覚えることが
出来るそうです。
実験2、フラッシュ暗算
フラッシュ暗算を実演している姿をテレビで見た
人は多いと思います。
今でもyoutubeで見ること
が出来ます。
原理はそろばんです。昔はそろばん塾で先生が声
で読み上げていました。それを聞いて塾生が、
頭の中にあるそろばんを頭の中だけではじいて
計算していました。フラッシュ暗算では読み上げる
のではなくモニター画面に数字が映し出されるのです。
その計算速度の速さには驚愕するものがあります。
フラッシュ暗算の訓練は子供の頃からはじめるのだ
そうです。
上の二つの事例は、重要なことを示唆しています。
脳には聴覚系回路と視覚系回路があります。
聴覚系とは言語を操る脳のネットワークで、
視覚系は画像処理を行なう脳のネットワークです。
チンパンジーは言葉が話せないので、言語脳つまり
聴覚系は発達していません。「アユム」は脳の画像
処理領域を用いてすばやく記憶しているのでしょう。
フラッシュ暗算は、そろばんの玉を頭の中で動かす
わけだから画像処理そのものです。
脳の画像処理領域は非常に速く動くのです。
脳の画像処理領域を意識的に活用する必要があります。
さてここから、速読法の話に移ります。
速読法とは、脳の画像処理領域をうまく利用する方法
と言ってもいいでしょう。具体的にみていきましょう。
効果あり!具体的な速読法4選
①視読法
視読法と言うのは簡単に言うと、単語がいくつか繋がった塊を
目で追いかけて文章を理解する方法です。音読の反対です。
文を、一文字づつなぞりながら読むときは、口で声を
出さなくても頭の中で音を出しているので音読になっています。
つまり脳の聴覚回路が働いているのです。
これでは早く読めません。複数の文字を同時に見て内容を理解する
ように訓練します。同時に見る文字の数をだんだんと増やしてゆきます。
すると頭の中から音が消え、目だけで読む視読になります。
読書家でたくさん本を読む人は、自然に視読を会得していることが
多いです。
②眼球運動トレーニング法
眼球運動トレーニング法と言うのは簡単に言うと、速読に必要な
目を作る方法です。
脳の画像処理回路の入力信号は目から入ります。
したがって速読するためには、目に入ってくる信号の量を増やさ
なければなりません。まず視野を広げ一度に入ってくる情報量を
増やす訓練をします。また目の無駄な動くをなくする必要があり
ます。目が文字の間を前後左右にきょろきょろ動いていると
時間の無駄になります。それをなくするために停留と飛越という
目の動かし方を訓練をします。目の筋肉を鍛えると共に緊張を
ほぐす眼筋ストレッチもします。
③写真法
写真法と言うのは簡単に言うと、カメラで写真を撮るように
文章を脳の中に写し取る方法です。
カメラで写真を撮る時、露光時間は0.1秒ぐらいです。その間に
写真情報をすべて記憶媒体に記憶させるのです。人間
について考えると、サヴァン症候群の人がいます。いくつかの
タイプがありますが、あるタイプのサヴァンの人は、
景色を見た時それを写真のように脳に写し取り、後から、
画用紙にそれを詳細に書き写すことが出来るのです。
つまり人間の脳にはそのような能力が備わっているのです。
それが何らかの理由で使えなくなっているのです。言語能力が
発達したことによってその能力が抑えられたのかもしれません。
その抑えられた能力を引き出そうとするのが写真法です。
④瞑想法
瞑想法と言うのは簡単に言うと、瞑想によって脳の活動を
効率的にする方法です。
マインドフルネスの様な瞑想をすることによって、雑念を抑え
集中力を高め、脳の聴覚系の働きを抑え、視覚系の回路だけが
フル回転するように訓練する方法です。
まとめ
視読法は日常的に本を読むときに意識すれば訓練
できるのでどなたにも出来るし、やってほしい
方法です。
眼球運動トレーニング法は、訓練法が具体的で、
客観的なので誰でも取り組むことが出来ます。
成果は人により異なりますが、だれでも一定の
成果は出すことが出来るでしょう。
写真法と瞑想法は、出来たという人と、出来なか
ったという人がいて個人差が大きいようです。
今、挑戦中と言ったところでしょう。
脳科学の分野では、脳波計(EEG)や機能的核磁気
共鳴画像法(fM R I)、近赤外線分光法(NIRS;
光トポグラフィー)などの計測方法が開発されて
きたので、速読法を脳科学的に追及する研究が
今後期待されます。